「今年にかける!2022」島根県松江市の日本庭園が手がける新春イルミネーションを特集します。
浮世絵界の超有名作品を光のアートで再現、小さな島から世界を彩ろうというコロナ禍の新戦略を追いました。
島根県の花「牡丹」。
園内を彩るのは松江市の「由志園」池に3万輪を浮かべた池泉牡丹は圧巻の迫力、晩秋の紅葉は山陰の名所にもなっています。
島根県と鳥取県にまたがる汽水湖・中海に浮かぶ「大根島」に位置する人気の日本庭園です。
そして、冬になるとその彩りはさらに輝きを増します。
130万球のLEDが織りなす和のイルミネーション「黄金の島ジパング」。
年明けからはお正月仕様となる中、今シーズン新たに登場した演出が人気を集めています。
(安部大地記者)
「こちらの動くイルミネーション、青と白の光をベースに巨大な波が表現されています。この波の形どこか見覚えがある気がします」
幅26m・高さ5mで表現された巨大な波。
そして奥にそびえる高さ10mの「出雲富士」実はあの有名な浮世絵を表現しています。
(来園者)
「あ~~~名前が出てこない・・・」
「なんだっけ名前が出てこない、有名な絵・・・葛飾北斎の・・・」
作品名はすぐ出てきませんが、多くの人が見覚えのあるあの絵。
江戸時代を代表する浮世絵師葛飾北斎の「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」です。
協力したのは、全国有数の北斎コレクションを誇る松江市の島根県立美術館。
浮世絵は版画のため、この「神奈川沖浪裏」も全国に数多く存在しますが、中でも状態が良い「初版」を所蔵しています。
コラボのわけを聞きました。
(島根県立美術館 山根智子さん)
「改修工事のため、全館休館している。より多くの方に当館が誇る北斎コレクションを知ってもらおうということで由志園に画像を提供した」
島根県立美術館は5月まで耐震工事中、閉館している間でも自慢のコレクションを楽しんでもらおうと画像を提供しました。
実物と比べても、遜色ないほどに再現された「光の波」。
どのように再現したのでしょうか。
(由志園 景山誠司さん)
「なぞった部分をくり抜いて、実際に波の部分だけを動かすための前段階の作業をしている」
まず、パソコン上で画像から波の部分を切り出します。
その後、イルミネーションで途切れなく流れるように波を一つ一つ分解、それをもう一度つなげ合わせます。
そして専用の機械に加工データを入力すると・・見事な光の波が再現されました。
(由志園 景山誠司さん)
「自然の流れを表現するために少し凹凸をつけることによって躍動する波を表現する意図がある」
電飾をずらして並べることで、自然に近い波を表現します。
(来場者)
「きれいだった」
「圧倒的に光の量が多くて、どこ見ても輝いている感じ」
「今まで来たことなかったので、ここまですごいと思わなかった」
「SNSでは見たことあったが、写真以上だと思った」
イルミネーションの来園者は毎年4万人程と全国の有名スポットと比べると多くはありません。
しかし、最新のイルミネーションアワードでは技術の高さを評価する部門で全国4位にランクイン!知る人ぞ知るイルミに成長しています。
ところでこれらの演出、実は外部に委託することなく全て自前で手掛けています。
ここにコロナ禍の新戦略が隠されています。
(由志園 景山誠司さん)
「他の施設で新たに由志園と同じような試みを手掛けたりと、そういった所に手を広げている。ある種、実験として遊びも込めながら新しいものを追求していける場所と考えている」
コロナ禍で来園者は半減。
イルミネーションのプロデュース事業の新たな一手として初挑戦したのが浮世絵でした。
日本庭園の霧と光の幻想的な演出をはじめ、東京の高級ホテルや長崎の庭園など全国5カ所で手掛けています。
「黄金の島ジパング」のごとく小さな島から全国に存在感を示すプロデュース事業の拡大を目指します。
(由志園 景山誠司さん)
「島根という地元から海外とか都会に発信できるような新しいコンテンツを生み出しながら、今年もこの波に乗っていきたい」
北斎の波のようにコロナ禍を力強く乗り越えていきたいー由志園のニューイヤーイルミネーションは1月16日までです。
からの記事と詳細 ( 由志園で葛飾北斎の光のアート イルミネーションプロデュースを全国へ(島根・松江市) - www.fnn.jp )
https://www.fnn.jp/articles/-/294480
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