
日本は「ほぼ」完全雇用
東京都などへの緊急事態宣言が9月末まで延長された。外食産業など経済への影響が懸念されるが、労働市場の統計には「不思議な数値」が現れている。新型コロナウイルスの蔓延が続く中で、雇用が増加しているのだ。 【写真】「新自由主義的な政策」を否定した岸田文雄氏で日本経済は復活するか 雇用者総数は2021年4月に13カ月ぶりに増加に転じ、それ以降、プラスを続けている。もちろん、昨年マイナスが続いた反動もあるのだが、7月は5992万人と、コロナ前の2019年7月(6034万人)の99.3%にまで回復。2018年7月の5953万人を0.6%上回っている。新型コロナで大打撃を受けた非正規雇用も4月から増加に転じ、4カ月連続のプラスとなった。女性パートや男女のアルバイトも増加に転じている。 いやいや、営業がまともにできない飲食店などは今も厳しいはずだ、と言うだろう。だが、これも数字の上では底入れをしている。個人事業者を含めた就業者数の「宿泊業・飲食サービス業」を見ると、2020年2月から17カ月続いた対前年同月比マイナスが止まり、2021年6月についにプラスに転じているのだ。 日本経済はそう悪くないのではないか、と思われるかもしれない。確かに、完全失業率はコロナ下で最も悪かった時でも3.1%。直近の7月は2.8%である。世界の常識から見れば「完全雇用」に近い。 人口が減っているから失業率が低いのでは、と言う人がいるかもしれないが、実はそれも違う。就業者数も雇用者数も過去最高水準で、高度経済成長期よりもバブル期よりも働いている人の総数は多いのだ。 今では女性が働くのは当たり前だし、65歳以上の高齢者も働いている。働かなければ食べて行けないという事情があるかどうかはさて置くとして、少子高齢化の中で、日本では働く人も雇用も減っていないのである。
魔法の種・雇用調整助成金
だからと言って日本経済が万全だ、という話ではない。米国のように新型コロナの蔓延で大量の失業者は生まれなかった。米国では新型コロナの蔓延直後の2020年4月には非農業部門の就業者数が前月から2050万人も減少、失業率が14.7%と戦後最悪を記録した。そうした激震に襲われた米国とは、日本の状況は大きく違っているのだ。 なんでそんな事が起き得たのか。コロナ下で現れた「不思議な統計数値」を見れば、その理由が想像できる。 実は、日本の正規雇用者数は、2019年12月以降、新型コロナ下にもかかわらず、対前年同月比で増加を続けているのだ。2020年5月だけ0%なので、翌月から数えても14カ月連続で増えている。繰り返される緊急事態宣言の中で、経営環境は厳しいはずだが、正社員はどんどん増えているのだ。パートやアルバイトなどは雇い止めなどで切られたのだが、一方で正社員はほとんど職を失わなかった。それどころか、正社員化が進んだと見られているのだ。 それはなぜか。ひとえに「雇用調整助成金」の効果だろう。 雇用調整助成金は、不況などで企業に人員余剰が生じた場合、休業をさせるとその分の手当が支給される制度だ。新型コロナの蔓延以降、政府はこの制度拡充を進め、大企業から中小企業まで、多くの企業がこの制度を利用している。働き手ひとり当たりの日額上限を1万5000円に引き上げ、助成率を最大10割にする特例措置も導入された。緊急事態宣言の延長で、この特例措置は11月末まで延長されている。 2020年4月以降、2021年9月10日までで、雇用調整助成金を支給された事業所はのべ448万5701件。支給金額は累計で4兆4065億円に達する。これだけの金額をばらまいた結果、雇用が「守られた」と見て良い。年間の消費税で言えば、2%分程度だから相当な規模の財政支出である。 厚労省が雇用調整助成金を大盤振る舞いしてきたのには訳がある。雇用調整助成金の財源は「雇用保険料」だからだ。早速、財源が逼迫してきたという話になり、保険料率の引き上げ議論が始まっている。雇用調整助成金の原資になる部分は、現在、賃金の0.3%を企業が負担することになっているが、これを引き上げたいというのが厚労省の考えだ。 9月8日には労働政策審議会雇用保険部会が開かれて、値上げ議論が始まったが、経営者側代表委員はもとより、労働者側委員も反対意見を述べた。
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確かに
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