
◆軽やかに動いてくれる私の指! 大きく変わったのは顔色だけではなかった。両手だ。明らかに動かしやすくなり、ぎゅっと握っても違和感がなかった。手術前は浮腫がひどく、手を握ると痛いほどだった。それが、術後すぐに、指自体の動きが軽やかになるのを感じたのだ。 よくよく見ると、指が細くなっている。細くなっているというか、体調がよかった頃の自分の指が、手が、しっかりと戻って来ていた。こうなってくると、うれしくてたまらなかった。 メールを書いてもタイプの速度が戻って来ていた。これこれ、この感触! キーボードの上を滑るように、軽やかに動いてくれる私の指! 魔法のようなブラインドタッチ!! 次に私を喜ばせたのは、足だった。明らかに一回りぐらい小さくなっていた。倒れる数か月前から、ブーツやウォーキングシューズが突然窮屈になって、年を取るってこういうことなのねと勝手に納得していたが、当然、徐々に悪くなる心臓とともに、両足も浮腫んでいたようだ。術後、徐々に元のサイズに戻った足を見て、新しい靴を山ほど揃えようとうきうきな気分だった。 試しに、入院したときに履いていたスニーカーを履いてみると、明らかに履きやすく、窮屈な感じは一切しなくなっていた。ベッドに座って、スニーカーを履いた足を揺らしてみると、脱げてしまいそうだ。 自分の両足をまじまじと見つめて、ああ、確かにこの足だったなあとしみじみとうれしかった。久しぶりに自分の足首を見たような気がしていた。足首もやっぱりあったなあと、当たり前のことに心を打たれた。
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確かに
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