「あれ、どんな絵だったかな?」。石原慎太郎氏の新著「あるヤクザの生涯 安藤昇伝」(幻冬舎)の新聞広告を見て、その昔、取材で世話になっていた男性(故人)宅で「安藤が持ってきた」という絵を見せられたことを思い出した。
確かに見た。でも、その絵が思い浮かばない。こんな時はなぜか、すごく損をした気分になる。懸命に記憶を手繰り寄せると…。
仙台市西部にあった遊園地が倒産し、債務整理を任された。大手開発業者に売却される運びだったが、交渉は価格を巡って大荒れ。そこで知人のつてで仲裁に立ってくれたのが当時、俳優の傍ら不動産業にも乗りだしていた安藤昇で-。
確か、そんな出合いだったと話していた。でも、どんな絵だったか。
思い余って頼んでみた。「あの絵、もう一度見せてもらえませんか」。ご家族の快諾を得て対面すると、それは拍子抜けするほど、穏やかなツツジの絵だった。赤い絵の具で「N.Ando」の署名がある。
特攻崩れ、安藤組組長、映画スター。派手な人生とは裏腹に、絵は平凡と言うか、何と言うか…。昭和はやはり、遠くなったのだ。
(論説委員 昆野勝栄)
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確かに

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