『奪い愛、冬』(2017年)や『奪い愛、夏』(19年)、『M 愛すべき人がいて』(20年)といった“視聴者の度肝を抜く恋愛ドラマ”の数々を手掛けてきた鈴木おさむ氏のオリジナル脚本による今回のドラマ。タイトルからしてびっくりな『殴り愛、炎』。出演オファーを受けた2人はどう思ったのか?
【山崎】鈴木おさむさんの作品はたくさん拝見しておりましたので、「奪い愛」から「殴り愛」に変わったのか、とワクワクしました(笑)。いつかおさむさんの作品に参加させていただきたいと思っていたので、今回はすごくうれしかったです。
【市原】脚本を読ませていただき実感したのですが、タイトルの「殴り愛」とは躍動感があり、言い得て妙だな、と思いました。
【山崎】確かに、躍動感があるね。前後編合わせてトータル2時間の物語なんですが、とにかくいろんな要素が詰まっているんです。男女の三角関係を軸に話は進んでいくんですが、コメディ要素強めで、ホラー要素もある。僕が演じるのは“壊れていく役どころ”ですが、豹変(ひょうへん)ぶりがちょっと怖いんですよ。それでいて、ウルッとくるところもあって。一つの作品ですべてのエンタメが詰まった“ありそうでない作品”。僕自身、いろんな振り幅が見せられる役なので、どこまで振り切れるか、表現できるか、今までにない山崎育三郎を見ていただけるかもしれない、と楽しみになりました。
【市原】中身は本当にびっくりです。問題作です。人が欲に左右された滑稽でみっともない背徳的な姿や、人格のアイデンティティーをへし折られる瞬間、見てはいけない他人の性を手で顔を覆いながらも隙間から見てしまいたくなるような面白さがあるんです。しかも、暴走するジェットコースターのような展開。もはやお家芸ですね。
■『殴り愛、炎』とは?
このドラマで山崎が演じるのは、「この手は人の命を救うためにある」と心に誓う心臓外科のスーパードクターで、過去一度も人を殴ったことがない人格者・明田光男。父が経営する病院に勤務し、次期院長と目される文句ナシのエリート。同じ病院に勤める看護師・豊田秀実(瀧本美織)との結婚式を1ヶ月後に控え、幸せの絶頂にいた。
そんなある日、光男は心臓発作を起こした急患の手術を担当する。その患者こそ、市原演じる陶芸家の緒川信彦。光男は生死の境をさまよう信彦の命を、鮮やかなオペで救う。ところが…。
信彦は秀実が高校時代に思いを寄せていた先輩だったのだ。光男のことを心から愛しているが、かつて告白してフラれた信彦のことも意識せずにはいられない秀実。信彦も高校時代に“ある理由”から秀実のことを振ってしまったけれど、偶然の再会にときめく。
そんな3人に、光男に想いを寄せる幼なじみの徳重家子(酒井若菜)や、光男への嫉妬心を内に秘めると同時に秀実のことを気に入っている光男の異母兄・鈴川倫太(永井大)が絡んで、いびつな愛の炎を燃やす男女5人の激愛模様が描かれる。
■「普段見ることができない世界」「一瞬たりとも見逃さないで」
――初共演した感想は?
【市原】育三郎くんといえばミュージカル界のトップスター。自分もミュージカル作品に参加させてもらったことがあるんですが、ストレートプレイとは全く違った表現の難しさを痛感したんです。なので、ミュージカルで培ったいろんな武器を持っている育三郎くんがこの物語の中でどこまで暴れ、そしてどう壊れていくお芝居をされるのか、すごくワクワクしていました。ご一緒させてただけただけで光栄でした。
【山崎】そんな、ありがとうございます。市原さんは、クールで硬派なイメージを皆さんもお持ちだと思うんですけど、ここまで純粋で自分に正直でうそがない人っていない。こちらの気が引き締まりました。僕が持ってない魅力たくさん持っていらっしゃるし、今回の撮影では市原さんの間の取り方や、表情もすごく面白くて! この作品で出会えてよかったと思っています。
【市原】僕自身、「ここまで自分を楽しめるようになったのか!」と驚くほど、振り幅を感じられた凄まじい作品となりました。
――劇中で山崎さんが「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を歌うシーンがありますが、市原さんも一緒に歌いたかったですか?
【市原】いえいえいえ、そんな恐れ多い!
【山崎】物語の中でキーポイントとなってくる歌ですので、楽しみにしていただきたいですね。
――鈴木おさむワールド全開の本作の見どころをお願いします。
【山崎】撮影現場の雰囲気がとても良かったんです。みんなが心から「ウソでしょ!?」という展開を楽しみ、「これは面白くなる!」と言いながらそれぞれがプライドを持って挑んでいく、貴重な経験ができました。コロナ禍でリモートが普及しましたけど、人と人が面と向かって思いをぶつけることで生まれるものの価値に、撮影しながら気付かされることもありました。この作品のことがなんでこんなにも好きだと思えるのか考えた時に、真っ直ぐに、正直に、自分の気持ちそのままに生きている人たちの物語だから魅力的なんだな、と思いました。おさむさんの作品なので、登場人物はとにかくみんなマジでどうかしているし、殴ると4、5メートル吹っ飛ぶとか、おかしなことが起こるんですが、そういうところの吸引力が抜群で、見ていてあっという間に感じると思う。一瞬たりとも見逃さないでほしいですね。
【市原】ドラマを観る楽しみって、普段見られない世界が見られるというのが一つあると思うんです。非現実的でも作品の中で整合性がとれていて、感情移入できる。その最高峰のドラマになっていると思います。したいこと、言いたいことがあっても、現実だったら自制するようなことを、このドラマでは一切しない。パンドラの箱を開けてしまったかのように、中にあったあらゆる感情、欲望が噴出して、「好きなんです、あなたが!」という思いの炎だけが高く燃え上がっていくような作品。普段見ることがない世界を見ていただけると思います。
無断転載・複製を禁じます
からの記事と詳細 ( 振り幅MAXの山崎育三郎&市原隼人、暴走ジェットコースタードラマは「もはやお家芸」|オリコン|北國新聞 - 北國新聞 )
https://ift.tt/3mbG9NW
確かに
No comments:
Post a Comment