ダウニング・ストリート10番地、英首相官邸。
ここにラリー(Larry)がやってきてから、10年が経とうとしている。
彼はもともと、ロンドンの通りに住んでいる野良猫だったが、2011年1月に、アニマルシェルター「Battersea Dogs & Cats Home」に連れてこられた。
そして2月15日、シェルターから首相官邸に養子に出されたのだった。
ダウニング街の公式ウェブサイトによると、ネズミ取りの腕前が評価されて選ばれたという。キャリアアップに、野良の経験が役立ったようだ。
そして「首相官邸ネズミ捕獲長」の地位を得て、公務員(?!)となったということだ。ちゃんと役職付きで、お仕事があるのだ。
しかし、ラリーから見て「初代」首相のデビッド・キャメロンは、彼は初期の数ヶ月間に3匹のネズミを捕まえたが、それ以来、ずっと「戦術的な計画段階」のままであり、失望していると語った。
その後は「殺し屋としての本能が欠ける」と言われ、タブロイド紙に「Lazy Larry(怠けラリー)」という、ニックネームをつけられたりした。
パーマストンとの因縁の戦い
近くにある外務・英連邦省にも、ネズミ捕獲長がいた。
ラリーより後の2016年にその職についたパーマストン(Palmerston)という猫だ。二匹が毛を逆立てた、たいへん非外交的で無愛想なケンカをしたことは有名だ。
パーマストンのほうが年下だったのだが、結局、尻尾を巻いて政治を辞め、2020年には田舎に引退した。
さて、ラリーはキャメロン首相と不仲という噂が立っていた。キャメロン首相は、あまり猫が好きではないらしく、猫の毛が服に着くとか、来客がある日はキャットフードの臭いを芳香剤で紛らわさないといけないなどと報道された。
英国が欧州連合(EU)を離脱するかを問う国民投票のあと、キャメロン首相は官邸を去ることになった。首相と議員との最後の質疑応答で、キャメロン氏は、ラリーと仲良く写っている写真を掲げて、この噂を撃退しなければならなかった。そして自分が去った後も、ラリーは官邸に居続けると請け合い、連れて行けないのは「悲しみだ」と言った。
ラリーの政治家の好みは?
ところで、ラリーの政治家の好み(?)について、有名なエピソードがある。
ラリーは野外出身のせいか少し神経質なところがあるらしい。でも、彼はオバマ大統領にはよくなついたと言われる。実際、なでなでさせてあげている。
ところが、トランプ大統領夫妻が訪れて、次のメイ首相夫妻が出迎えたときは、窓の所にいて近づかなかった。しかも、大統領専用リムジン「ザ・ビースト」の下にいて、動こうとしなかった。
ラブ・ロマンスはあるの?
ところで、ラリーにはロマンスはないのだろうか。
ついぞ聞いたことがないが、メス猫と一緒に首相官邸に住んでいたことはある。フレイア(Freya)という2歳くらい年下の猫だ。
もともとはジョージ・オズボーン財務大臣が家で飼っていた猫だった。ところがある日、姿が見えなくなってしまい、探したがみつからない。あきらめていたら、ある日妻のところに電話がかかってきて、地元で餌をもらって生きているというのだった。
ちょうどキャメロン首相は、ラリーに腹を立てていたところだった。報道によると、ラリーにネズミを追いかけさせようとしたが、片目を開けただけで、椅子から動くことを拒否したというのだ。そこでラリーをクビにして、新たにフレイアをネズミ捕獲長にしようとしたという。
キャメロン首相によると、彼女の方がタフで、より通りに精通した捕獲者ということだ。そこでダウニング街10番、11番、12番のパトロールに任命した。こうしてラリーと共同で職に就いたのだった。
二匹は、たまに大げんかをするが、共存していたという。
ところがフレイアは脱走(?)が好きで、2014年5月には1マイルほども逃走して迷子に、8月にはホワイトホールで車に轢かれてしまった。
そんな事情で、彼女はケントの田園地帯に送られ職を辞した。その後は自由に動き回れるようになったという。
ネズミ捕りより重い役目
動物好きの国では、ダウニング街の猫は広報活動において重要な役割を果たしている、と歴史家のアンソニー・セルドン氏はAFP通信に語った。
この過去4人の首相の伝記を書いた歴史家は、「猫は首相を人間らしくするのに役立つ」という。
危機の時には、猫は「気晴らしとして振る舞える」とも付け加えた。
ロンドンのクイーン・メアリー大学で政治学の教授を務めるティム・ベール氏は、ラリーの役割が長かったのは、「政治家と有権者の間にある大きな断絶」の橋渡しをしたいという、首相の願望があったからだとしている。
特に国民を二極化させている首相は、「人々に共通の何かを持っているという印象を与えるために、もちうるあらゆる機会をつかもうとする」のだそうだ。AFPが報じた。
私がヌシ!
ラリーは、非公式のTwitterアカウント@Number10catを持っていて、43万3000人以上のフォロワーがいる。
AFPのジャーナリストがSNSを介して連絡を取ったアカウントの著者は、「人間の介入はない」と主張し、ダウニング街でのラリーの長い統治について簡単な洞察を述べた。
ラリー曰く、「覚えておくべき重要なことは、私は永久にここに住んでいるということ。政治家は彼らが解雇されるまでの間、少しの間だけ私と一緒に下宿しているのである」
「遅かれ早かれ、彼らは全員、この場所を仕切っているのは私だということがわかるのだよ」
ブレグジット交渉の最終決着のときのラリー。パパラッチなんてお構い無し。大変有名になったビデオだ。
もう結構おじいさんになってしまった・・・元気で長生きしてね!
からの記事と詳細 ( 英首相官邸ネズミ捕獲長「ラリー・ザ・キャット」10周年のお祝い(今井佐緒里) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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