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Thursday, December 31, 2020

将来の農地活用法を提案 奈良・明日香村 – 全国農業新聞 - 全国農業新聞

2021年1月1日

 奈良県の中央部に位置する明日香村では、1400年にわたり守られてきた豊かな棚田や里山が有名な一方、耕作放棄地の増加や担い手不足の課題が深刻化している。そこで、村・農業委員会・JAが中心となり、ヤンマーの協力を得て、これからの農地活用のあり方を模索している。

 明日香村では、耕作放棄地の増加が深刻化している。主な要因は農業者の高齢化と担い手不足、有害獣の被害によるもの。そこで同村では、高齢農家の経営継続や新規就農者の定着を図るため「明日香村農業戦略」を策定し、将来の営農のあり方を示す取り組みを進めている。
 同村には多くの史跡があり、農村景観も保存されていることから観光地としても有名だ。同農業戦略では、「景観エリア」と「営農エリア」を設定するなど、村の特色を最大限に活かすよう考えられている。また、高齢者や新規就農者に持続的に営農してもらうためには、農作業の省力化を図ることが不可欠との思いから、村・農業委員会・JAが協力して、具体的な取り組みに着手した。

モデル圃場で行った耕作放棄地解消の様子
(上が再生前、下が再生後)

 作業を省力化することにより高齢者の負担を軽減するとともに、農機のレンタル化を進めて新規就農者が作業しやすいようにする。農作業の負担が軽減できる技術を取り入れてもらうためだ。具体的には、ヤンマーの協力を得て、最新の技術や人工知能(AI)を搭載した高機能機器を実際に圃場で実演。作業風景を農業者に見てもらうことにより、新技術を身近に感じてもらう取り組みだ。

移植機など高機能機器を実際に圃場で実演

 農業委員や農地利用最適化推進委員が中心となり、耕作放棄地を解消したモデル圃場で、30度の斜度にも対応するリモコンによる自走式の草刈機、畝立てとマルチ張りを同時にできる農機や、正しい電気柵の張り方などの実演を行った。
 同村の担当者は「農業はどうしても費用と手間がかかる。高齢化も進んでいるので、そういった悩みが解消できるよう、今回の実演を行った。最小限の費用で省力化した農業ができるということを発信していければ」と意気込む。また、深刻な鳥獣被害による農業者の意欲低下を防ごうと、同村では農業に集中できる環境づくりを進めている。
 同村農業委員会の森井清政会長(59)は「地域によって規模は異なるが、農業委員会や農業者が抱える悩みはどこも同じ。村や農業委員会が先頭に立って課題の解決を行うことによって農業者の手本となる。インターネットや新聞を通じて情報を発信し、全国のモデル地区になれれば」と思いを語る。

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