菅義偉首相が、観光支援事業「Go To トラベル」の年末年始の全国一時停止を表明した。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、専門家の度重なる警告や世論の批判の高まりを受け、方針転換に追い込まれた形だ。
感染拡大地域では医療体制が既に逼迫[ひっぱく]し、一般医療との両立が困難になり始めている地域もある。停止は遅きに失したと言わざるを得ず、事業継続にこだわった政府の責任は重い。
トラベル事業を巡っては、政府は「感染拡大の主要な原因であるエビデンス(証拠)は存在しない」という立場を主張。札幌・大阪両市を除外するなど、小出しの対策を続けてきた。しかし、12日には全国の新規感染者が1日当たりで初めて3千人を突破するなど、「勝負の3週間」と位置付けた期間も効果は出ていない。
事態を悪化させた背景にあるのは、専門家や医療現場の訴えを軽視し経済優先に固執した菅政権の姿勢だ。トラベル事業は菅首相が就任時に掲げた「感染防止と経済再生の両輪」の象徴で、「地方経済の下支えに大きな役割を果たした」と強調してきた。確かに旅行業界には追い風にはなったものの、感染収束前のまだブレーキが必要な時期にアクセルを踏み込む矛盾があった。爆発的な感染拡大を避けるためには、経済との両立はいったん脇に置いて、今は感染防止を最優先させることが重要だ。
感染状況の改善がなければ、継続中の「Go To イート」も見直しを迫られることになろう。経済対策は消費刺激策から切り替え、現金給付などの直接的支援を強化すべきではないか。
県内も、リスクレベルが最上位のレベル5(厳戒警報)となった。県と熊本市が10月に基準を統一して以降、最上位になるのは初めてだ。
新規感染者数も増えているが、特に注意が必要なのが病床稼働率の高さである。県全体でも30・8%と高水準で、熊本市内に限っては危険水域の76・0%に達している。寒さが厳しくなる今後は、高齢者の緊急患者が多くなる季節だ。一般医療との両立が厳しくなる前に、さらなる対策強化を急ぎたい。
からの記事と詳細 ( 「GoTo」停止 今は感染防止を最優先に - 熊本日日新聞 )
https://ift.tt/2LGH5fe
確かに
No comments:
Post a Comment