印象派やアール・ヌーヴォー(新芸術)の画家らが傾倒した江戸時代の浮世絵師葛飾北斎の業(わざ)の極みを知ってもらおうと、岡田美術館(箱根町)は二十七日まで、特別展「生誕260年記念 北斎の肉筆画−版画・春画の名作とともに−」を開催している。富士山の版画集「冨嶽(ふがく)三十六景」で世界的に有名な北斎だが、版画には残らない繊細な筆遣いが分かる肉筆画をメインに据えた。(西岡聖雄)
西洋絵画は十九世紀、写真機の発明で記録手段としては役割が低下。転換期の画家たちに新境地を開かせたのが、同時代に日本から渡った浮世絵とされる。左右非対称、背景の余白、対象の一部を切り取る大胆な構図は画家たちに衝撃を与え、珍しい多色刷りのカラフルな色彩は印象派誕生のきっかけになっていく。
特に北斎の人気は高く、モネやマネ、ゴッホら影響を受けた画家は多い。特別展では、壮年期から最晩年までの代表的な肉筆画を中心に関連作品を含む三十点を紹介している。収蔵する北斎の全作品の公開は、開館以来初めてという。
目玉の一つは、館収蔵の「夏の朝」と個人蔵の「美人夏姿図(びじんなつすがたず)」。共に北斎が五十歳前後に描いた夏の美人画で、両傑作が並ぶ機会は少ない。着物の格子模様の線を震えさせるなど、細部にも手が込む肉筆ならではの高い技量を鑑賞できる。
死の直前「あと五年命があれば真正の画工になれた」と語ったという北斎。死の二年前に描いた「雪中鴉図(せっちゅうからすず)」は、雪景色に一羽のカラスが口を広げ、何かを訴えるよう。学芸員の近森愛花さん(30)は「長生きしてさらに高みを目指そうとした北斎の孤高、鬼気迫る自画像と感じる」と話す。
太刀の装飾や髪飾りが驚くほど細密な「堀河夜討図(ほりかわようちず)」、数少ない北斎の屏風(びょうぶ)絵のほか、冨嶽三十六景の「神奈川沖浪裏(なみうら)」と「山下白雨(さんかはくう)」、森羅万象を描いたスケッチ集で内外の画家が手本にした「北斎漫画」(個人蔵)を展示。漫画のカエルをモチーフにしたフランスのガラス作家エミール・ガレのガラス花器も花を添える。
東京五輪の外国人客も意識し、長年準備した企画。コロナ禍で五輪延期、一時休館と会期中は浮世の荒波にもまれたが、入館者数は回復傾向という。一般二千八百円など。問い合わせは岡田美術館=電0460(87)3931=へ。
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