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Thursday, August 20, 2020

三遊亭歌武蔵 話術のセンスで引き込む斬新で珍しい演出の古典(NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュース

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、三遊亭歌武蔵(うたむさし)の斬新で珍しい演出の古典についてお届けする。

 * * *  落語プロモーターの夢空間がユーチューブで「夢空間チャンネル」を6月末に開設、手始めに無観客の「落語教育委員会」を四夜連続で配信した。第一夜が三遊亭歌武蔵『猫の皿』、二夜は三遊亭兼好『干物箱』、三夜が柳家喬太郎『転失気』で、四夜は打ち上げ座談会だった。 「落語教育委員会」は柳家喜多八が歌武蔵に「もっと勉強会をやるべき」と意見し、「じゃあ一緒にやってください」となって喬太郎も誘い2004年に始まった三人会で、兼好は喜多八没後に参加。全員が僕の大好きな演者だが、最大のポイントは歌武蔵の存在だ。寄席の出番では角界出身という経歴を活かした相撲漫談(通称『支度部屋外伝』)で沸かせることが多く、確かにそれも圧倒的に面白いが、そうした話術のセンスがそのまま持ち込まれた古典落語こそ歌武蔵の真骨頂。  今回配信された『猫の皿』は初めて聴いたとき茶店の爺さんのクレイジーなキャラに衝撃を受けた演目だ。店先の木に死体がブラ下がってても気にせず、魚が死に絶えるほど汚染された川の水で茶を煎れて客に出し、一人でバカ笑いし続けて咳き込む茶店の爺さんのバカバカしさは歌武蔵にしか出せない。  7月5日には有楽町・よみうりホールで定員半減ソーシャルディスタンス対応の「落語教育委員会」が開かれ、歌武蔵は『お菊の皿』を演じた。歌武蔵版のお菊は、なんと「幽霊なのに太ってる」という設定。もうそれだけで最高に可笑しい。「美人だから」じゃなくて「太ってて面白いから」人気が出るのだ。

 その『お菊の皿』など、歌武蔵の高座を収めたCD「大落語集」シリーズが日本コロムビアより発売されている。現在まで出ているのは「支度部屋外伝/植木屋娘」「強情灸/らくだ」「壺算/死神」「天災/お菊の皿」「鹿政談/甲府い」の5枚。 『植木屋娘』は上方の演目で、東京では歌武蔵の他にあまり演り手がいない。『らくだ』も上方の型で、屑屋はあくまで陽気なお調子者。東京の演者にありがちな悲惨さが漂うことなく笑いが絶えない。『死神』は時代設定が現代という珍しい演出で、ラストも独特。やっぱりこの死神も太ってて陽気だ。『甲府い』は登場する善人たちが生き生きと描かれて実に気持ちがいい。  その他、どの噺も歌武蔵の語り口の妙が聴き手を引き込んで離さない逸品ばかり。今年7月から日本コロムビアは「三遊亭歌武蔵 大落語集」他の落語コンテンツのサブスクリプション配信を解禁、スポティファイやアマゾンミュージック等のストリーミングサービスで聴けるようになった。ぜひお試しを。 ●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。 ※週刊ポスト2020年8月28日号

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