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Wednesday, June 10, 2020

コロナ禍による転職危機はサラリーマンを「会社人間」に逆戻りさせるのか(ITmedia ビジネスオンライン) - Yahoo!ニュース

 さまざまな業界に広範囲に影を落としている新型コロナウイルス。中でも影響が顕著に現れつつあるのが転職市場だ。リーマンショック時とも比肩される「コロナショック」における、急激な買い手市場化の背景とは。そして、それだけにとどまらない本質的な人材市場の変化とは何か。人材大手のパーソルキャリア(東京・千代田)が運営する転職サービス・doda編集長の喜多恭子氏に聞いた。 【グラフ】コロナ後の劇的な求人数低下

求人数急減、求職者は横ばい

――2019年ごろまでは、転職市場は慢性的な人手不足から売り手市場でした。それがコロナ禍で急激に買い手市場に転じましたが、どのような背景があるのでしょうか。 喜多: 確かに有効求人倍率は急激に低下しています。20年3月の倍率は1.43と、17年6月ぶりの低水準でした。背景にあるのはやはり、求人数の大きな減少です。20年3月の求人数は前年同月比で13.6%減。一方、求職者数は0.7%増と横ばいでした。  dodaの4月のデータでも、季節要因を加味すると新規の登録者数よりも求人数の減少幅の方が多い結果になりました。これはリーマンショック時と同じような現象だと言えます。  ただ業界別に見た場合、リーマンショックで顕著に打撃を受けたのは製造業でした。今回のコロナ禍では外食への影響が若干目立ちますが、業界別にそれほど差は無く、満遍なく全業種にインパクトを与えていると言えます。  このように急激に買い手市場に転じ、転職者1人当たりの応募企業数が増えています。一方でまだ採用を静観している企業が多いのが現状です。パーソルキャリアの調査でも、新型コロナの採用への影響について企業の約36%が「影響あり」と回答。そのうち45.5%が「採用活動の再開時期のメドは立っていない」と答えています。

コロナ禍で転職者の個人志向が消滅?

――近年の売り手市場は、人材の流動化に加え「自分のやりたいことや働きやすさ重視」といった、転職者の個人志向も強めてきたように思えます。今回の深刻な買い手市場化は、逆に転職者の安定志向や、従来の日本的な「会社に合わせる」働き方への逆行につながったりするのでしょうか? 喜多: 確かに景気が不安定になると、転職者は従前より安定志向になりがちです。リーマンショック時ほどの(転職希望者側の)強い不安感はまだ見えていません。ただ、一定のスキルや経験が無い人だと、やはりすぐの転職を希望するケースも出るでしょう。  とはいえ、成長産業に従事していたり、個人で(強い)スキルを持つ人であれば、個人の価値観に従って生活の満足度を高めつつ仕事する志向も増えていると見ています。  例えばテレワーク化です。今回のコロナを受け「終息後もテレワークを続けたい」と回答した人は53.2%と、非常に高い数値になりました(パーソル総合研究所 「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」)。  同調査では、生活満足度を大事にする価値観の人が増えた一方、同僚や上司とのやりとりが減ったという結果も出ています。(従業員が感じる)「職場の一体感」は、やはり少し減ったと言えるでしょう。 ――不景気であっても、「個人志向から会社人間化」といった単純な揺り戻しだけではないと。 喜多: 景気が悪くなると仕事観は変わるものです。例えばITバブル以前では会社の規模や歴史、出自で就職を決めるのが普通でした。ITバブル以降は逆に過去の実績を当てにせず、ITベンチャーなどトップのリーダーシップが分かりやすく発揮されている企業に人気が集中しました。  一方で東日本大震災後では、「すぐに仕事に就きたい」という志向だけでなく、社会貢献にも関心が向くようになりました。

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