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Thursday, May 21, 2020

「丸い四角」というイノヴェイティヴな矛盾:METHOD #05 HERMÈS|WIRED.jp - WIRED.jp

レザー製品とともにエルメスの代名詞とも言える「カレ」。熟練のクラフトマンたちによって調合された染料で描かれる色鮮やかな絵柄とその世界観は、世界中の人々を魅了し続けている。そんなフランス語で「正方形」を意味するカレが、革新的トランスフォームを遂げたという。“丸い四角”とはいかなるものか。その眼で確かめてほしい。

スカーフ¥163,000(エルメスジャポン

世界で最も有名なファッション小物のひとつ、エルメスの「カレ」。「カレ」とはフランス語で「四角」を意味し、1937年の誕生以来、千紫万紅の“四角形”が世界中の人々を魅了し続けてきた。そしてこの春、その「カレ」に「カレ ロン」という新シリーズが加わった。

直訳すれば、「丸型の四角」。80年以上にわたって四角形であり続けたスカーフが、丸形へと革新的トランスフォームを遂げたというわけだ。ただ丸形と、言うは易し。だがプリント製版は四角が常識であり、曲線の縁をハンドロールで仕上げるという困難な処理も、エルメスの卓越した職人技術あればこそ。テクノロジーの介入など微塵も感じさせないエレガントな佇まいだが、史上稀に見るイノヴェイションが込められたアイテムなのだ。

もちろん形式や製法における革新は、実際に身につける際のルックスや使い勝手にも、大きな変化を生じさせる。例えば四角の「カレ」にあった「角」が、この「カレ ロン」には存在しない。

角をどのように見せるのか、あるいは見せないのか──この難題から解放される(要はさっと巻くだけでさまになる)だけでも、スカーフ上級者ではない者にとっては僥倖だろう。また、ゆるやかな曲線を描くエッジの印象は柔らかく、過度に女性っぽくも子どもっぽくもないから汎用性が極めて高い。ウィメンズのコレクションに属する製品ではあるが、性別を問わず使えそうだ。

聞けば2020年はエルメスにとって、「イノベーションの動き」をテーマに掲げる年なのだとか。スカーフひとつをとっても、「カレ ロン」だけでなく世界初のダブルフェイスプリントが登場するなど、記念すべき1年となる予感は十分だ。

この世界最高峰の伝統あるメゾンが創設以来保ち続けるイノヴェイティヴなものづくりの姿勢は、『Le Monde d’Hermès エルメスの世界』というエルメスが発行する小冊子(国内のエルメス各店で手に入れることができる)のなかで見つけた、アーティスティック・ディレクター、ピエール=アレクシィ・デュマ氏の言葉に如実に表れていると思う。

いわく、“イノベーションを成し遂げるには、想像力の扉を開け放ち、固定観念にとらわれることなく、未来を夢見なければなりません。(中略)私たちはともに探求し、試行を重ねることも厭わず、ときに失敗しながらもまた新たな一歩を踏み出してきました。常歩、速歩、襲歩と速度を変えながら、新しいものを探求し、エルメス自体も常に新しくあろうとしてきたのです──”。

高度な技術にさらなるイノヴェイションをもたらすには、つくり手自身のたゆまぬ“精神のイノヴェイション”が欠かせないということだろう。

※シリーズ「WIRED METHOD」のバックナンバーはこちら

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