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Wednesday, February 26, 2020

「天才編集者」の言葉が突き刺さる! 『死ぬこと以外かすり傷』 | J-CAST BOOKウォッチ - J-CASTニュース

 「天才編集者」箕輪厚介(みのわ こうすけ)さんの初の著書『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンハウス)のタイトルを見て、確かに、と思った。穴があったら入りたい、頭にカーッと血が上るなど、日々の出来事に毎度心はざわついてしまう。ただ、本書のタイトルのように考えることができたら、多少の波風が立とうとも、自分の枠をグンと広げて思い切り生きられる気がする。

 本書は2018年に刊行され、19年に18刷まで版を重ね、13万部を突破。19年12月には『マンガ 死ぬこと以外かすり傷』(NewsPicks Comic)が刊行された。箕輪さんが「僕の頭の中、行動原理を全て書いた」本書は、辛口、刺激強め、切れ味鋭く、頭から冷水を浴びたような衝撃を受けた。

 「僕以来、久しぶりに出てきた、編集者の天才だ。」(見城徹さん)

 「箕輪くんは今一番速い。1週間単位で成長している。」(堀江貴文さん)

 「熱量の高いバカなテンションを潰す世界にしてはいけない。この本はリスクを取るバカを増やしてくれる。」(落合陽一さん)

 そうそうたる面々に一目置かれる箕輪厚介さんとは、一体どんな人物なのだろうか?

既存の編集者の枠を超える

 箕輪さんは1985年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2010年双葉社に入社。ファッション雑誌の広告営業としてタイアップや商品開発、イベントなどを企画運営。広告部に籍を置きながら雑誌『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊し、アマゾン総合ランキング1位を獲得。14年編集部に異動。『たった一人の熱狂』(見城徹)、『逆転の仕事論』(堀江貴文)を編集。

 その後幻冬舎に移籍し、17年「NewsPicks Book」(NewsPicksと幻冬舎がコラボしたビジネス書レーベル)を立ち上げ、編集長に就任。創刊1年で100万部を突破した。また、会員1300名を擁する日本最大級のオンラインサロン「箕輪編集室」を主宰。幻冬舎に勤務しつつ、既存の編集者の枠を超え様々なコンテンツをプロデュースしている。

 『多動力』(堀江貴文)、『日本再興戦略』(落合陽一)、『お金2.0』(佐藤航陽)、『人生の勝算』(前田裕二)など、最前線で戦う起業家の著書を次々とベストセラーにしてきた剛腕の秘密。幻冬舎に身を置きながらも月給の20倍の収益を副業で稼ぎ出す方法。オンラインサロンを主宰し1300名を集め、イベントやプロモーションで熱狂を生み出す手法――。これらについて箕輪さんは自身の体験談、時に仰天エピソードをまじえバンバン書いている。

 目次と各章の要点は以下のとおり。

第1章 考え方――予定調和を破壊せよ
 「常に『こんなものだろう』という予定調和を破壊しに行かなくてはおもしろいこと、新しいことはできない。」
第2章 商売のやり方――自分の手で金を稼げ
 「サラリーマン脳を捨て自分の手で稼ぐ力を持たないと、これからの時代にあまりに不安定だ。」
第3章 個人の立たせ方――名前を売れ
 「自分というブランドをいかに打ち立てるかが、個人の時代では重要なテーマになる。」
第4章 仕事のやり方――手を動かせ
 「ごちゃごちゃ言う前に、とにかく動く。スピードと量で圧倒する。変化の時代には、とにかく動く人間が勝つ。」
第5章 人間関係の作り方――癒着せよ
 「デジタルの時代こそ丸裸になって本物の関係を作れる人間の価値は増す。」
第6章 生き方――熱狂せよ
 「ロボットが人間の大半の仕事を代替するようになると、我々人間は自分の内的欲望に忠実に、何かに入れ込んで、ただ熱狂する時間ができる。むしろそうやってしか人間が生み出すべき価値は作れなくなる。いかにして熱狂にまみれて生きるかを考えた。」

 箕輪さんの型破りな雰囲気が伝わるだろう。次は一体どんな言葉が飛び出すのだろうか? と、ハラハラワクワクしつつ読み進めた。32項目の言葉の一つ一つが、深く突き刺さるものだった。

「自分らしく狂え」

 評者が本書から受けた箕輪さんの印象は、型破り、異端、革命児、破天荒といった言葉が当てはまる。一見、掴みどころがなさそうだが、本書を通読すると、箕輪さんの熱量の高い想いが明確に伝わってくる。

 「はじめに」で「もともと僕は努力型でもエリート思考の持ち主でもない」、「大学生時代は1秒も勉強していなかったと思う」、双葉社で広告営業をしていた頃は「どこにもいないレベルでクズだった」と書いている。しかし、編集者の仕事をやるようになってから、何かが変わったという。

 「ただ熱狂し、狂う。自分の好きなものに情熱をもってひたすら入れ込む。結局、本をヒットさせるのも、アプリをヒットさせるのも、ラーメン屋で行列を作るのも、自分自身の人生を乗っけて熱狂できるかどうかだ。」
 「日本も、僕のいる出版業界も、閉塞感が漂っていて、終わっていく感じがあるけれど、僕の周りは盛り上がっている。......早くこっちにくるといい。こっち側で間違いない。ルールは変わる。経験は邪魔だ。無知でいい。ごちゃごちゃ考える前に、動け。」

 一時期、空気が読めないと「KY」と嘲笑される風潮があったが、近頃はそうでもなくなりつつある。箕輪さんの「頭の中、行動原理」を丸ごと一冊読めば、空気など読んでいる場合ではない、まともでいたらもったいない、そんな気がしてくる。

 「この世は酔いがさめた人間、まともになった人間から脱落していく愉快なレースだ。世界に対してできることを考えながら自分らしく狂え。ありのままで楽しみながら、自分にしか生み出せない何かを作れ。リスクなんて何一つない。失敗こそ最高のブランドだ。バカになって飛べ。」

 なんて明快で痛快な言葉だろう。箕輪さんが一目置かれる理由がわかる。箕輪さんは「この本がこれから生きる若い人の武器になったら、嬉しい」と書いている。特にこれから社会に出ていく方は、本書を読むかどうかで、社会人になってから見える景色が変わってくるだろう。

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February 27, 2020 at 05:16AM
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