アフリカ発のファッションが日本で受けています。最大の持ち味は、カラフルな色や大胆な柄。独特の素材使いもアフリカ発ならではのよさです。身にまとうだけで、元気やパワーをもらえそうなアフリカファッションですが、実は日本人が相次いで服やバッグのブランドを立ち上げ、アフリカブームを押し上げています。残暑を乗り切り、ポジティブな気持ちで秋ファッションを楽しむためにも役立ちそうなアフリカファッションの魅力に迫ります。
おしゃれモード感漂うアイテムが充実 支援を押し出さない「CLOUDY(クラウディ)」
日本人が手がけるアフリカ製アパレルウエアとして知名度が高いブランドに、「CLOUDY(クラウディ)」があります。アフリカでの雇用創出を主な目的として、運営会社の「DOYA」が2015年にに立ち上げました。ガーナで3つの自社工場を運営し、約500人を雇用しているそうです。創業者の銅冶勇人さんは、スマートな人材が集まることで有名な、アメリカの有名投資銀行、ゴールドマン・サックス証券から転じて起業しました。
東京の新名所となった、渋谷の商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤード ミヤシタパーク)」。この人気スポットに「クラウディ」のショップが入っています。2階の店内に足を踏み入れると、ポジティブ色のアフリカンテイストに迎えられます。
「クラウディ」の最大の持ち味は、鮮やかな色と柄が躍るアフリカンファブリック(布地)にあります。布越しに元気までもらえそうな、カラフルでパワフルなアフリカンエスニックの民族柄は、装いにもエナジーを注ぎ込んでくれます。
伝統のハンドメイド織物が醸し出す手仕事感やぬくもりも、オンリーワンの味わい。Tシャツやバッグなど、幅広い品ぞろえです。シグネチャー的なウエアは、胸ポケット付きのポケットTシャツ。カゴ系バッグには内側に柄巾着をセット。内側の巾着バッグを入れ替えれば、別の表情をまとえる提案など、アフリカンファブリックの奥深さがおしゃれマインドを弾ませてくれます。
「クラウディ」は売り上げの一部をアフリカの雇用や教育、健康支援に役立てています。サイト上で使い道がきちんと公開されているのは、透明性や納得感が高く、好感が持てる理由。Tシャツ1枚で給食10食といった具合に、自分の支払った代金がどのようにアフリカで役立つかをイメージしやすいから、貢献意欲を自然に引き出してもらえます。2021年3月にはガーナに中学校が開校しました。
意義の大きい取り組みが評価されて、コラボレーションが絶えないのも、「クラウディ」ならでは。「SHIPS」「OVERRIDE」「ACME Furniture」「FEILER CLEAR LABEL」「Tani」など、たくさんの企業やブランドがコラボに参画。アイテムの幅を広げています。大手百貨店では相次いでポップアップショップを開催。アイテムを手に取る機会が増えてきました。
まずデザインがおしゃれなところがブランドの魅力です。チャリティや支援をうたう取り組みでは、デザインが後回しになってしまうケースも見受けられますが、「クラウディ」はファッションのプロの目から見ても、モード性やトレンド感があり、デザインが洗練されています。一方、ことさらに「支援」を押し出さず、商品そのものの力でまっすぐ勝負している点はすがすがしさを感じます。そもそも寄付を募っているのではなく、まっとうな労働の機会を提供するという立ち位置も支持を得やすい理由。「クラウディ」への支持が広がるのは、このような取り組みが共感を呼んでいるからなのでしょう。
日本女性が手がけるアフリカ発ブランドが相次いで登場
■ウガンダ発 RICCI EVERYDAY(リッチー・エブリデイ)
アフリカの各地で日本人の手がけるブランドが誕生しています。たとえば、ウガンダ発のファッションブランドが「RICCI EVERYDAY(リッチー・エブリデイ)」です。運営会社「RICCI EVERYDAY」の代表取締役を務めているのは、仲本律枝さん、仲本千津さんの母娘トップです。銀行員から転じて起業した千津さんが発案し、専業主婦だった母の律枝さんのサポートを得る形で2015年、起業しました。
ウガンダのシングルマザーをはじめとする現地スタッフが手作りするバッグが看板商品です。とりわけ有名なのは、4通りに使い分けられる「アケロバッグ(Akello Bag)」。ショルダーバッグのほか、トート、クラッチ、ハンドバッグと、自在に使いこなせます。カラフルなアフリカンプリントが着こなしのアクセントに。ウガンダで「幸運を運ぶ」という意味の名前通り、持っているとハッピーな気持ちになれそうなポジティブバッグです。
■エチオピア発 andu amet(アンドゥアメット)
エチオピアでラグジュリーレザーブランド「andu amet(アンドゥアメット)」を育てたのは、チーフデザイナーと代表を兼ねる鮫島弘子さんです。エチオピアで産する、上質なシープスキンを使ったバッグを主に販売しています。2012年に創業した同ブランドは来年に10周年を控えていて、日本人がアフリカで起業したファッション企業としてはパイオニアと言えるでしょう。
アイコン的な「Hug(ハグ)」シリーズは横に長く、朗らかな印象のフォルムと、ボーダー柄のように異なる色を配したカラーリングが目を引きます。エチオピアシープスキンの質感を生かした、ソフトな風合いは服との相性を選びません。革を交互に編み込んだ、サークル状のハンドル(持ち手)は職人の手仕事技のたまものです。バッグのほかに、食肉の副産物を原料としたレザージャケット「Ebreeze(エブリーズ)」も発表しています。
■ケニア発 RAHA KENYA(ラハケニア)
ケニア発のファッションブランド「RAHA KENYA(ラハケニア)」を手がけているのは、合同会社AsanteSana(河野理恵代表)です。スワヒリ語で「Be Happy」を意味する「RAHA」の言葉通り、身にまとうだけで幸福感を得られそうなアイテムを提案しています。色鮮やかなアフリカ布を身にまとった女性たちに出会い、自信をもらったことをきっかけに、河野さんが2018年に創業しました。
アフリカ布の魅力を軸に据えている点が特徴的な取り組みです。大胆でダイナミックな色・柄は、パワーや自信をもたらしてくれるかのよう。「ラハケニア」自体も「一歩踏み出すきっかけの」をコンセプトに掲げています。布の魅力を印象づける、シャツワンピースは1枚でも前をあけてサラリと羽織りたくなるデザイン。普段使いに便利な提案です。
元気がもらえるおしゃれ ソーシャルグッドへ自然に参加
いろいろと制約が続くだけに、おしゃれを通して、前向きな気持ちになりたい今、エナジーを帯びたアフリカファッションは絶好の選択肢。日本のおしゃれ好きが相次いでアフリカファッションに魅了される理由がわかる気がします。現地での労働機会を提供したり、教育や健康のレベルアップを手助けできたりもするから、ソーシャルグッド(社会によいこと)の観点からも広がりに期待したいところです。
まだあまり多くの人が取り入れていないという意味ではレア感があり、自分流のおしゃれに取り入れるメリットが多いでしょう。まずはTシャツや小物から入って、装いのワンポイントアクセントに使うのがおすすめ。「元気をまとう」つもりで「アフリカデビュー」してみてもよさそうです。
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